0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
この部屋を調べることになったのは、
彼女の友人だという人物から、
失踪した友人を探して欲しいという依頼を受けたから。
それだけでしかない。
チェックインしたてのホテルのような、
無個性でとても清潔な部屋。
いやホテルとは違い、
家具がないのだから、
まだ誰も住んでいない部屋と言うのが正しいのだろうか。
そう、
無個性。
何色にでも染まる、
無地のキャンバス。
全てを受け入れてくれる、
空っぽの箱。
彼女と言うのは、
どのような人物であったのか。
友人の話も要領得ず、
やはり部屋から推察しようにも、
何の手がかりもない。
もちろん、
彼女がなぜ失踪したのかも、
わかりようがない。
八方塞がり。
見えなくなってしまった。
それが、
なにを意味するものなのか、
知り用がない。
最初のコメントを投稿しよう!