一通の手紙

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唯一出てきた特徴と言えば、 彼女は誰にでもものを譲るような優しい性格である。 以上。 確かに、 写真をみせてもらっても、 街の雑踏に紛れてしまえば見つけることは困難だという感想しか出てこなかった。 それでも見つけられない、 とは言わないのは、 探偵の真似事をしている僕の一番の得意分野が、 人探しだからだ。 だから、 この件は僕に回されたんだろうし。 彼女の暮らしていた部屋の家具。 そこから、 彼女をたどることはできないか。 粗大ゴミとして出したにしろ、 業者に引き取ってもらったにしろ、 家具を捨てるなりなんなりすれば、 とても目立つ。 そんな定石どおりの行動をあざ笑うかのように、 実際のところ、 本当になんの手がかりもない。 彼女の痕跡は、 一枚の手紙と、 周囲の人物の記憶しかなかった。
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