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カミサマは次の世界で彼等が産声をあげた瞬間に対価として記憶を奪いました。
一緒ならもう記憶は不要でしょう。
2人で零から築き上げなさい。
そしてその世界を精一杯生きなさい。
くすくす。
苦労した記憶ほど美味なものはないのだから。
幸福に包まれた最期の記憶ほど甘美なものはないのだから。
頂いていきましょう。
そう言って"ナニカ"を喰らっていったのでした。
果たして。
カミサマは本当に優しいだけなのでしょうか。
記憶を奪われた"彼等"は本当の意味で幸せなのでしょうか。
もう"当時の彼等"は何処にもいないというのに。
"彼等自身の願い"を思い出す事もできないというのに。
辛さがあるから幸せを感じられる。
苦しみがあるから有り難みを感じられる。
辛さや苦しみなどを知らぬ無垢な人として生まれ堕ちた彼等が、また新たに苦しみながらもがく様子を、カミサマは今日も何処かで嬉々として眺めているのかもしれませんね。
ーいつか誰かが助けてくれないかな。ー
ー早く誰かを助けなければ。ー
ー私が、俺が、消えてしまうその前に。ー
End
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