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御霊は
”落ちこぼれの死神”でした。
人の魂を狩ることが嫌いで。
仲間からも嫌われて。
もう少しで神様から消される存在でした。
だから、消えてしまうその前に
最後の力で誰かの願いを叶えてあげたいと
願っていました。
そして私は
荒れ狂う世界を必死で生きていました。
燃え盛る炎の中を何日も何日も逃げていて。
おまけに銃弾に足を撃ち抜かれて、
もう少しで死にそうでした。
たどり着いたお社の裏で
こんな現実から誰かが連れ去ってくれるのを
求めていました。
そんなギリギリの境地で
私たちは出会いました。
御霊は私だけを魂ごと転生させようとしてくれました。"私"の記憶が消えないように。でも神様は、生きていた時代も、死してもなお孤独だった御霊に温情をかけてくれたのです。
求めるものが同じだった私なら
彼の孤独を救えるはずだと言って。
彼が生まれて初めて誰かを求めた
そんな彼に求められた私だから
彼を孤独から救えるはずだと言って。
御霊が私に願ったことは
"自分を覚えていて欲しい"でした。
彼は生きてる時に"孤独な死"を遂げました。
だから、神様はチャンスを与えたのです。
人との関わりを持てる役割を添えて。
けれど、死神になっても
彼は関わりを避け続けていたらしいのです。
でも、期限を言い渡された時に告げられました。
このままでは輪廻転生の輪に乗れない、と。
だから本当に消えてしまう前に、
自分という魂の存在を知って欲しいと
生まれて初めて、"誰か"を望んだのです。
それが、私でした。
運命とは時に残酷で、時に優しいものですね。
そのおかげで私たちは
2つの小さな魂に転換され
誰かのお腹に一緒に宿ることができました。
遠い世界の、平和な国で。
「ふふ。ねぇ、ルイ。あのね、いい話があるの!赤ちゃん双子だって。」
「えぇーーっ!?それ本当!?俺いきなり2児のパパになるのか!?」
「くすくす。よろしくね?パパ。男の子と女の子らしいわよ?」
「うわー!幸せが一気に二つも!!ありがとう!涼香。愛してるよ」
「私もよ。ルイ。愛してる。」
「「二人とも、待ってるからね。早く産まれておいで」」
”きっと、次の世界は幸せだね”
”あぁ、そうだな。”
それが、私たちの最後の記憶。
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