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「ヒナ……」
痛みで全く気付かなかったけど、その声に眉間のしわが薄くなる。
「ヒロ君……、来てくれたんだ」
それで痛みが遠のくわけではないのだけど、ゆるむ頬に彼の手が触れた。
「当たり前」
できれば代わってやりたいくらいだが、100%無理なことを口にしても虚しいだけで飲み込んだ。けれど、その声にその手に安心したのか、大きな瞳から涙がにじむ。
「あたし、ダメだったみたい。ちゃんと、産んであげたいのに、お腹切るかもって……。運動、足りなかったかな? それとも食べ物? 夏だからってクーラーかけてばかりでーー」
「違う。ちゃんとしてたからここまで育ったんだよ。なにか? 帝王切開の母親はみんな失格か?」
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