始まりの終わり

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 が、彼本人は自分の容姿に感謝することもなければ、むしろ普通で良かったと思っているのだから、世の中は理不尽に満ちている。 「ヒナ、嫁バカだな?」 「そーかなぁ」 「で、要件は?」 「あ」  思い出して、彼を見上げる。やはり、誰がどう見ても「おっさん」とは呼べないだろうと、再確認して。 「今日、美容院行こうと思って」 「あぁ、いんじゃね?」  ヒナとしては、子供が生まれたらそんな時間がきっと取れないと思ってだが、この男にその概念は無いから(シッターに預けるなりすればいいと思っているので)、分かり合えたわけではないことは明記しておこう。
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