始まりの終わり

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 彼女の言葉に「えへへ」と笑ってお腹を撫でる。 「触っていい?」の言葉に「はい!」と答えれば、あかりは腫れ物でも触るようにそっとヒナのお腹を撫でる。 「……すごい。感動ものね」  そういわれると、なんだか照れくさくてやっぱり笑った。 「あ、ヒナーー」  彼が言葉を失ったのは、大きすぎるお腹が目に入ったから。 「うんうん、人妻って感じよね?」 「違うでしょ? ってか、でかくなったなぁ」  陸にそう言われると、なんとなくつむじを曲げたくなるのは、付き合いの違いだろうか? 「別に太ってないから」 「言って無いでしょ? そんなこと」 「だって、りっちゃん、そう言いたそうだったし」 「被害妄想。ま。座りなよ? 重たいだろ?」 「だから太ってないってば!」 「はいはい」  そう言いながら陸がくるりと椅子を回せば、ヒナもすとんと座る。
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