始まりの終わり

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 そのころ、漆黒の大型犬はといえばーー。 「そろそろ予定日だったわよね?」  目の前には、天敵というべきか最大の味方というべきか? 彼女がいて手の中の煙草を奪われた。 「そろそろ禁煙したら?」 「……ヒナも言わねぇのに」 「可哀そうに。軽いDVね」 「……」  どうしたところで彼女には構わない。仕事でも私生活でも。 「そうだわ、お祝いは電子タバコにしましょうか?」 「やめてくれ。で、なんで呼び出されたか教えてもらえる?」  その言葉に、どさっと置かれる資料の山。 「まずはページの穴埋めね。ここのコラム書いてる作家さんが入院しちゃって」  まずは、なんて言葉からまだまだ仕事が降ってくるのだろう。それがわかるから、彼は一つため息をついて「で?」と彼女の言葉に耳を傾けた。
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