始まりの終わり

16/44
前へ
/824ページ
次へ
『真夜中のご馳走』というのは、その題名通り真夜中だけ営業するお店のお話。和食からフレンチに中華、デザートに至るまで。そのとてもおいしそうな描写も人気の一つなのだが……。  押し黙り視線を逸らすヒロキに、三上は苦笑した。 「作ってないのね?」 「ちゃんと取材はしてるから。しかもプロに」  実は、唯の先生ともいえるパティシエの石井に教えてもらってる。彼はパティシエではあるが、フレンチにも通じており、さらに言えば中華などはカイルのホテルの料理長に取材という徹底ぶりだ。 「どうせなら作ればいいのに」 「いやいや、取材して分かったね。料理は天性の才能だって。俺には無理」  そんなヒロキの言葉に、三上はあきれるように肩をすくめた。
/824ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9285人が本棚に入れています
本棚に追加