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その男らしい声に振り返ればーー。
「せんせ……?」
あかりの声に、赤石はづかづかと入り込んでヒナの背中をさすり始めた。
「息を止めちゃダメ。痛みを逃がすように吐くの」
「ーーっ、はいっ」
もう額は大粒の汗が光っていて、陸もあかりも狼狽えてしまうのに。
「ほら、早くタクシー呼びなさい! それから父親にもね」
冷静すぎる赤石に、二人は目が点だ。
「早く!」と怒鳴られて二人は「はいっ!」と動き始めた。
「えと、タクシーだっけ?」
「それと父親、だよね?」と確認する陸に、あかりは少しばかり余裕を取り戻したのかにやりと笑う。
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