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「すぐにそっちへ」
「もうタクシー呼びました! だから病院で、あ、えと俺? え? や、分かりましたって! 俺が付き添いますから」
こんな状況だというのに、くだらない感情が湧き上がる。
「ーー頼む」
けれど他にそう言える相手がいないのも事実で、そういうとヒロキはスマホをポケットに入れ立ち上がった。
「三上さん、悪いけどーー」
「タクシーになさい」
「は? いや、俺急いでて」
「それであなたが事故ったらどうするの? タクシーはすぐ捕まるわ。車はキーを預かっとく。病院を教えて、誰かに持って行かせるから」
「あ、いや」
「ほら、出す!」
三上に強く言われると逆らえないのは、彼女の言ってることが正しいから。
だから言われた通り、鍵を渡してヒロキは部屋を飛び出した。
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