始まりの終わり

25/44
前へ
/824ページ
次へ
「タクシー来ました!」  その声に赤石がすっくと立ち上がる。 「ヒナちゃん、今は痛み遠のいたわね?」 「……はい」  それでも痛いのだが、先ほどまでじゃない。そのヒナの答えに赤石は自分の腕時計を見て「ふむ」と声をあげる。 「まだ病院に行くには早いっていわれるかもだけど初産ですもの。ひとまず病院へ直行よ」  そう言って陸に顎で指示をする。 「あ、あのっ、いや、いいんですけど、えと、俺だけ?」  ここに残されても心配過ぎて仕事なんて無理なのは重々承知だ。けれど、ついていって出来ることがあるとも思えない。
/824ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9286人が本棚に入れています
本棚に追加