始まりの終わり

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「えと、痛くない?」  今のタクシーはどんなアトラクションよりスリリングだ。 「……ちょっと痛い、けど平気」  それはそうだ。なんて当たり前な質問をしてしまったんだろうか。 「……俺、役に立ってる?」 「うん……、多分」  痛みで額いっぱいの汗に、陸はドキドキするばかり。 「なんか俺にしてほしいことない?」  このままじゃ本当の役立たずだと思うそういえば、彼女は首を振る。 「ごめんね、迷惑かけちゃって……」 「そんなこと言うなって。これは……」  これで嬉しい、なんて言ってはいけない。なら、何て言えば? そう考える陸に、ヒナが笑う。 「いつものことだし?」  なんていうから、陸も「そうだな」と笑って見せた。
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