対峙する琥珀

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対峙する琥珀

「男の子」といっても当時彼は高校生くらいだったはずだ。 ヒロキとは違い優しい印象を与える彼の顔は年齢より幼く見えるかもしれない。 そして間近で見ない限り琥珀の瞳に気づくことも無いだろう。 いや、外国人であるならその瞳が琥珀であったとしても気にかけることもない。 祖母は結局、彼のファミリーネームまでは覚えていなかったが、それは恐らくカイル・オーウェンに間違いないだろう。 だからこそ彼は文香の名前を知っているし、そしてヒロキに会おうとしているのだ。 「またいつでもいらしてね?」 微笑みながらそう言ってくれる祖母に対し「はい、また」と短い言葉を返す。 その短さに祖母は少しばかり寂しそうに笑った。 「そして出来ればお嫁さんにもあわせて欲しいわ。今更お婆ちゃん面なんて迷惑でしょうけど」 そんな風にいわれてしまうと小さな罪悪感がこみ上げてくる。 けれど確かに血の繋がった人間はもうこの世に彼女しかいないわけで――。 「必ず」 だからそう答えて河西家を後にした。
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