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いつものふたり
窓からは暑い陽射し。
けれどこの部屋の中は快適だ。
「ここでいいかな?」
なんて呟きながらヒナはコトリとそれを置いた。
それはウェディングドレスを着たヒナとタキシードをこの上なく着こなしたヒロキの写真。
「どうした? それ」
後ろからかけられる声に「ん?」とヒナは長い黒髪を揺らして振り返る。
「えへ、ちっちゃいの貰っちゃった」
「……で、あのデカイのは?」
実はこれを貰う前に大きな写真ポスターを貰っていたのだけど……。
「あれはヒロ君が捨てるっていうから――」
「あんなもん部屋に飾る気だったのか!?」
「……」
本気で驚くヒロキにヒナは少しムッとして口を開いた。
「それでも捨てろは無いと思う」
「……」
なんて返されて、ヒロキはバツが悪そうに視線を逸らす。
そんな姿に少しばかりの反省が見えるから、ヒナも表情を緩める。
「で、それを返しに行ったらこれくれたの」
そう言いながら額に飾られた写真を見つめた。
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