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「そうですか?」
「はい。なんか、黒いです。真っ黒です。腹黒な感じです」
眼鏡のレンズを拭く手に視線を落とし、どこか拗ねた彼女の声を聞いた。
へぇ。
と、思う。
「昼間は違う?」
「昼間の乾課長は綺麗な白です。誠実で堅実なように見えます」
なるほど、面白い考え方だ。合ってなくもない。
「だから、本当の乾課長はどっちなのかな?って」
持ち上げた眼鏡のレンズ。ようやく汚れが消えた。
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