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「それでもダメなものはダメなんです。他人を貶めて良いことなんて一つもないんですよ」
凄い目力で僕にズイと顔を寄せて怒っているんだと強調するアカネさん。近いって、顔が近い!!
「わ、判りました」
思わず仰け反って彼女の肩を押し戻す。
「魔力さえ補充すればエトナさんだって上級魔法使いにも退けをとらないんですから!」
「その魔力を補充するためのポーションにも一度に運べる限度があるから欠陥って言われてるんですって」
体力を回復するヒールポーション。
これは剣術士の人が良く使用する傷を回復する飲薬である。
即効性はあまりないが、自然治癒と比べれば明らかに治る速度が違うもので、少々の切り傷程度なら20秒と経たず傷口を塞いでしまう代物である。
次に僕が中毒者のように何本も持ち運び、がぶがぶと飲み干している魔力を回復するマナポーションである。
一本のマナポーションで中級魔法なら4発、大魔法なら1発は打てる代物で、一般の魔術師が持つ魔力はおおよそマナポーション7本分と言われ、1本だけでも充分な効果を発揮し即効性もあるとても便利な飲薬なのだ。
しかし、あまり飲みすぎると胃の中が麻痺しリバースするので注意である。
ただただ少ないだけならまだしも僕の魔力は魔術師じゃない人ですら半ポーション分は持っているというのに全くのゼロときた。
魔術師としては異例も異例の欠陥品である。
しかしそんな欠陥にも抜け道はあってポーションがないと何も出来ない僕であるが、逆にいえば最低値が無いお陰で魔力が枯渇した時になる魔力欠乏症という運が悪ければ身体機能の一部を失いかねない状態に陥る事がないのである。
つまり僕の胃袋次第ではリスクなしに飲み放題打ち放題なのだ。
加えて学生の頃は金銭面で高価なポーションを馬鹿みたいに購入することが出来なく、勤勉していたためにそこいらの魔術師に負ける気はしない。
しないが、この腰周りにつけたベルトポーチにふととも付近につけたポーチ、そして登山でもするのかという大きなリュックサックを背負わなければ同等には戦えないのである。
もちろんポーチ、カバンの中身の大半はマナポーションである。
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