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目的のアルテラ神殿に辿りついたのは街を出て2日が経過した頃だった。
休まずに歩き続けた結果ようやく神殿を見つけ出した時には森の最奥まで僕は来ていた。
「うへー。こんなに遠いとか聞いてないんだけど……」
直ぐに靴を脱いでパンパンになった足を宙に向けて伸ばす。
聞いていたよりも入り組んだ道中を抜けて辿りついたのはいいが帰りの事を思うと少し億劫な気持ちになる。
辺りを見渡すと多くのチームがテントを張って野営をしたりアイテムの販売を行っていた。
一先ずここまで休まずに来たのだから僕も突入するのは明日にして今日は野営するために簡易テントを張ることにした。
森の道中に襲ってきた野生生物の肉やら野草を焼いて簡単に食事を取りながら明日潜るダンジョンの入り口に目をやる。
外見は他の洞穴(ほらあな)のように外界生物(ガルム)が掘って出来た造りではなく、しっかりとまるで手積みされたかのような石畳の"神殿"となっており、人工的に造られたかのような出来栄えである。
遺跡といってもいいだろう。
「ここは一体どんな主(ボス)だったのかね」
過去に一度だけ主(ボス)と偶然遭遇してしまい、対峙したことがあるがあの時の容姿は大猪のような形をしていた。
当然ダンジョンも洞窟を利用したかのような迷路状で、野生溢れる洞窟であったことを記憶している。
今は無きこの神殿の主(ボス)の姿を実際に見たのは討伐者である魔戦乙女(ワルキューレ)様だけで今や知る術もない。
別にそういう観察趣味を持っているとかではなく、純粋に外界生物(ガルム)の性質に興味があったのだが好奇心は猫をも殺すと言う言葉を後々思い知る事になるとこの時は思いもしなかった。
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