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……
テントを張り終え獣の肉を頬張りながら明日の非常食も兼ねていくつか燻製を作っていると背後から人影が差した。
「ん?」
ハタハタと大きな葉っぱでのんびり燻していたのだが、急に暗くなるものだから何事かと後ろを振り返る。
「やっぱりエトナじゃーん!!何?あんたまだソロってんの?」
振り返るや否や少々甲高い女性声がいきなり僕の名を呼んで馬鹿にするかのような言葉を並べてくるのであった。
「あぁ、なんだイブキか」
気だるそうな目を背後に立つ女性に少しだけやると、良く見知った顔があったのですぐにお手製の燻製機へと視線を戻す。
今はコイツに構っているような余力が僕には残っておらず、早く作り終えて眠りにつくために再びハタハタと大きな葉を使って煙を送り始める。
「ふんっ!」
――ゴッ!!
「ぐおっ!?」
気合のこもった踏ん張り声と同時に自身の頭部に鈍い音と痛みが走り低い悲鳴を上げた。
「ってぇな!!この野郎!!」
「野郎じゃないですぅー、女性ですぅー」
思わず葉っぱを落として両手を頭頂部に添えて涙目になりながら後ろの女性を怒鳴りつけるが、飄々(ひょうひょう)とした態度で抵抗してきた。
「なんだよイブキ、また僕のことをからかいに来たのか?だったら今日は辞めてくれ2日と寝てねぇんだ。早く干し肉作って眠りたいんだよ」
「2日……?アンタもしかしてぇ、あの森で迷子にでもなってた?」
右手で口元を押さえながら目を細め、こちらをいやらしい目で見てくるのは同じ魔術師ギルドの同期、イブキである。
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