第1章

4/20
前へ
/57ページ
次へ
メンバーが揃う日は早かった。 全員で、12人。 顔見知りの警察も含んで。 「なんや」 「印牧さんが来たら何かと、落ち着きます。」 「それはどういう意味や。警察馬鹿にしてるんか」 「いえ、こんな 水面下に 淡水魚がいるだけで情況を持って行きやすいというか、 本当に型に振り回されない良い方なんで。」 めがねをくいっと持ち上げ見つめる 冏に、 「いっとくけど、暇やから来たんとちゃうで、仕事で来てるんや。前科おるし」 印牧 邦康(こまき くにやす)45歳、独身、 何かと口添えする。 前科と口にした瞬間、 びくりと反応したのは、 達磨 貊 (たつま ばく)26歳、服役1年目。 窃盗の前科有り。 「……何見てんねん、俺を疑ってんのか」 「そうや。それ以外に何がある」 貊はフッと笑い、 「どうせ、俺を見るためやなくて 何も仕事任せられなくなって見栄張ってきてるんやろ、無理せんでええで、見苦しーわ、印牧さん」 「お前、警察舐めてるやろ、分かった、公務執行妨害で今逮捕したるわ」 「ちょーやり過ぎやで。印牧さん」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加