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「はは、近藤。落ち着けって。俺じゃねーよ。全く知らない赤の他人なんだけど、さっき電車待ってたら、ホームで別れを惜しむカップルが居たのを見たんだよ」
「あー、なるほど。それでその質問ですか。でも、そういうカップルよく駅近くいません? そんな珍しくないですよね?」
追加でオーダーしたたこわさを食べながら、近藤に言われる。
「まぁ、そうなんだけど……。そういうのって、大体女の方が泣いてるの多いだろ? 今日は男の方だけが泣いてたから、珍しくてな」
「へー! 確かに珍しいっすね。でも、遠距離で泣いてるとしたら、よっぽど彼女の事、好きなんでしょうねー」
「だろ? 遠距離恋愛したことないからさ、どうなのかなと思ってな」
「主任! 期待に添えずすいません。俺も残念ながら、無いっす! でも……青春っすね、羨ましい!!」
「ほんと、青春だったな。若いっていいな」
「主任だって、若いですよー。そんな事より、今日は、飲みましょ、飲みましょ!」
酒が入ったからか、若干テンションが上がってきた近藤に乗せられつつ酒を飲み、俺達は残りの二人が来るまで青春について語り合った。
あのカップルが、本当に遠距離になったとして、それでも上手くいくといいなと、微かに願いながら。
≪終わり≫
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