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いよいよ、私の怒りバロメーターもとうの昔にマックスを超えて、爆発寸前。
それを近くで感じ取っていた直哉は、一旦私を自分の椅子に座らせ、私を落ち着かせようとしてくれた。
「ムカつく―――――」
「あはははっ」
「なに!」
「神崎、耳のところから湯気が出てんぞ」
「それを言うなら、蒸気でしょ!」
自分で言っておいて、とてもくだらないと思うけど、内心ホッとしていた。
変に気を遣われるわけでもねく、いつもの調子でこんな風に笑っていられるのが、私はとても嬉しかった。
「おら、お前らー。静かにしろよー」
カラカラという地味な音がたって、担任らしき男性が入って来た。
始業式当日だとは思えない、賑やかな光景が広がっていた。
*******
「お腹空いたー」
「私もー」
今日は始業式なので、午後からの授業は入っていない。
時刻は13時。
ちょうど、空腹も我慢の限界になってくるころ。
「この辺り、なんかあったっけ?」
「喫茶店とか、ファミレスとか」
食べることが大好きな梓と私は、食事の話になると話題は次から次へと湧くように出てくる。
「帰んないの?」
「直哉、お腹空かない?」
「減ってるけど・・・」
「一緒に行かない?」
直哉は翔希ーと言って、中野くんを手招きした。
そして、学校を出て4人で駅に向かう際に見かけていたお店に入った。
雰囲気が良さげで、外観だけでなく内装もとてもオシャレ。
お昼時のピークは過ぎていたようで、すんなりと席に座ることができた。
「白石さんて、あの写真部の白石さん?」
「そうだけど・・・」
この様子からして、直哉はずっと前から梓のことを知っていたみたいだ。
それにしても、"あの写真部の白石さん"って、どういう意味だろう。
「去年の学際で作品飾ってたでしょ?」
「うん・・・」
「なんか、良いなーって思ってさ」
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