#1.大人と子ども

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いよいよ、私の怒りバロメーターもとうの昔にマックスを超えて、爆発寸前。 それを近くで感じ取っていた直哉は、一旦私を自分の椅子に座らせ、私を落ち着かせようとしてくれた。 「ムカつく―――――」 「あはははっ」 「なに!」 「神崎、耳のところから湯気が出てんぞ」 「それを言うなら、蒸気でしょ!」 自分で言っておいて、とてもくだらないと思うけど、内心ホッとしていた。 変に気を遣われるわけでもねく、いつもの調子でこんな風に笑っていられるのが、私はとても嬉しかった。 「おら、お前らー。静かにしろよー」 カラカラという地味な音がたって、担任らしき男性が入って来た。 始業式当日だとは思えない、賑やかな光景が広がっていた。 ******* 「お腹空いたー」 「私もー」 今日は始業式なので、午後からの授業は入っていない。 時刻は13時。 ちょうど、空腹も我慢の限界になってくるころ。 「この辺り、なんかあったっけ?」 「喫茶店とか、ファミレスとか」 食べることが大好きな梓と私は、食事の話になると話題は次から次へと湧くように出てくる。 「帰んないの?」 「直哉、お腹空かない?」 「減ってるけど・・・」 「一緒に行かない?」 直哉は翔希ーと言って、中野くんを手招きした。 そして、学校を出て4人で駅に向かう際に見かけていたお店に入った。 雰囲気が良さげで、外観だけでなく内装もとてもオシャレ。 お昼時のピークは過ぎていたようで、すんなりと席に座ることができた。 「白石さんて、あの写真部の白石さん?」 「そうだけど・・・」 この様子からして、直哉はずっと前から梓のことを知っていたみたいだ。 それにしても、"あの写真部の白石さん"って、どういう意味だろう。 「去年の学際で作品飾ってたでしょ?」 「うん・・・」 「なんか、良いなーって思ってさ」
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