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そして、放課後。
私からのメッセージに気付いた中野くんはいい返事をくれた。
そして、直哉と梓を加えた3人で見学に行くことにした。
「うわあ、サッカーの練習なんて、こんな間近で見たの初めてかも」
梓が目をまん丸くして言った。
くりくりとしたつぶらな瞳に、オレンジの夕焼けが眩しかった。
選手たちのスパイクがグラウンドを蹴ると、砂煙が上がって、土のにおいがする。
「みんな、すごいな」
直哉が遠くを見ながら、感心したように言った。
放課後の過ごし方は、人それぞれ。
学校に遅くまで残って勉強する人、お店に立ち寄って他愛のない会話をする人・・・
そして、こんな風に、青春をかけてスポーツに打ち込んで、汗を流して、キラキラしてる人。
「・・・あ」
中野くんの姿を見つけた。
周りの選手より一回り大きく見える背中は、何度転んでも立ち上がっていた。
何度も、何度も。
・・・中野くんは、サッカーが好きなんだな。
サッカーのルールはよく分からないけど、それだけは確かだと思った。
*****
途中で梓は急なバイトのシフトが入って、直哉も梓を送ると言って、結局私だけになった。
練習が終わって、今は中野くんと一緒に帰っている。
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