#1.大人と子ども

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「今日から二年生だね!」 「そうだね」 「クラス一緒かな!?」 「栞奈(かんな)うるさいから」 「ちぇー」 隣からの大人びた声に、ぷうっと唇を尖らせた。 すると彼女は、場所を考えろとでも言いたげな目で私を見てきた。 ここ、電車の中だし。当たり前か。 私、神崎 栞奈(かんざき かんな)は、幼なじみの白石梓(しらいし あずさ)と電車で登校中。 家が近いこともあって、梓とは毎日のように遊んでいた。 一緒にいない日の方が少ないくらい。 かと言って、学校でいつも梓と行動を共にしているわけではなく、話せたら少し話すほど。 去年はお互いクラスが違っていたけど、入学から数日したら友だちができた。 それでも、梓は私にとっては大切な存在。 何日か話さなくても、ふと話したときに話題が尽きることがない。 そして何より、私の行き過ぎたポジティブ神経をコントロール出来るのは梓だけ。 同い年だけど、私よりは相当大人びて見える。 何より、面倒見の良さがその要因だと思う。 だから、梓と初対面の人は、たいてい凄く年の離れた兄弟がいるように連想する。 けど、梓は一人っ子。私とずっと一緒にいたから、そうなってしまったのかもしれない。 「ねえ、あず・・・」 「う~ん・・・・・・」 梓は私の左肩に身を預けて、すやすやと寝息を立てていた。 朝日に照らされた黒髪が、きれいな栗色に変化していて、つやつやと眩しく見える。 すぅー、すぅーっと耳に掛かってくる吐息は、少しくすぐったい。
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