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「今日から二年生だね!」
「そうだね」
「クラス一緒かな!?」
「栞奈(かんな)うるさいから」
「ちぇー」
隣からの大人びた声に、ぷうっと唇を尖らせた。
すると彼女は、場所を考えろとでも言いたげな目で私を見てきた。
ここ、電車の中だし。当たり前か。
私、神崎 栞奈(かんざき かんな)は、幼なじみの白石梓(しらいし あずさ)と電車で登校中。
家が近いこともあって、梓とは毎日のように遊んでいた。
一緒にいない日の方が少ないくらい。
かと言って、学校でいつも梓と行動を共にしているわけではなく、話せたら少し話すほど。
去年はお互いクラスが違っていたけど、入学から数日したら友だちができた。
それでも、梓は私にとっては大切な存在。
何日か話さなくても、ふと話したときに話題が尽きることがない。
そして何より、私の行き過ぎたポジティブ神経をコントロール出来るのは梓だけ。
同い年だけど、私よりは相当大人びて見える。
何より、面倒見の良さがその要因だと思う。
だから、梓と初対面の人は、たいてい凄く年の離れた兄弟がいるように連想する。
けど、梓は一人っ子。私とずっと一緒にいたから、そうなってしまったのかもしれない。
「ねえ、あず・・・」
「う~ん・・・・・・」
梓は私の左肩に身を預けて、すやすやと寝息を立てていた。
朝日に照らされた黒髪が、きれいな栗色に変化していて、つやつやと眩しく見える。
すぅー、すぅーっと耳に掛かってくる吐息は、少しくすぐったい。
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