#1.大人と子ども

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「栞奈大丈夫!?」 心配した梓が駆け寄って来てくれた。 おかげで目が覚めたようで、いつも通りのぱっちりおめめに戻ってる。 「平気、平気」 「あれ、神崎?」 「え?」 梓のほかにもう一人、私の名前を呼んだ人がいた。 ひょっとして・・・ 「直哉!」 その人の名は、諌山 直哉(いさやま なおや)。 去年同じクラスだった、男子のクラスメイト。 「なに?こけたの?大丈夫?」 「大丈夫だから。てかそんなに聞かれても答えられないし。聖徳太子じゃないんだから」 「聖徳太子って、実在しないんだよ」 「え?」 驚きの回答を示したのは、梓だった。 「なんでいないの?お寺とか建ててるのに」 「聖徳太子って名前の人はいないの」 「誰かがそれを作ったってこと?」 前々から梓を知っているみたいに話しかけたのは、これもまた直哉。 フレンドリー過ぎて、梓は少し困った顔をした。 ・・・わけがない。 私は理解するのに時間がかかるから、直哉みたいにすぐ理解してくれる人がいると、とても嬉しいみたい。 「ケガしてない?」 「あ、全然大丈夫です」 一方で、私に話しかけたのは直哉と一緒にいた男子。 こっちも突然で、少し驚いた。 「直哉、行かないと遅れる」 そして、その彼は冷静な口調で告げた。 「じゃ、みんなで行こう」
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