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「栞奈大丈夫!?」
心配した梓が駆け寄って来てくれた。
おかげで目が覚めたようで、いつも通りのぱっちりおめめに戻ってる。
「平気、平気」
「あれ、神崎?」
「え?」
梓のほかにもう一人、私の名前を呼んだ人がいた。
ひょっとして・・・
「直哉!」
その人の名は、諌山 直哉(いさやま なおや)。
去年同じクラスだった、男子のクラスメイト。
「なに?こけたの?大丈夫?」
「大丈夫だから。てかそんなに聞かれても答えられないし。聖徳太子じゃないんだから」
「聖徳太子って、実在しないんだよ」
「え?」
驚きの回答を示したのは、梓だった。
「なんでいないの?お寺とか建ててるのに」
「聖徳太子って名前の人はいないの」
「誰かがそれを作ったってこと?」
前々から梓を知っているみたいに話しかけたのは、これもまた直哉。
フレンドリー過ぎて、梓は少し困った顔をした。
・・・わけがない。
私は理解するのに時間がかかるから、直哉みたいにすぐ理解してくれる人がいると、とても嬉しいみたい。
「ケガしてない?」
「あ、全然大丈夫です」
一方で、私に話しかけたのは直哉と一緒にいた男子。
こっちも突然で、少し驚いた。
「直哉、行かないと遅れる」
そして、その彼は冷静な口調で告げた。
「じゃ、みんなで行こう」
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