Amazing Grace

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 さっきと変わらず、時計の針は同じ時を刻んでいる。  さっきまでと違うのは、ほんの少し前に進めたことだ。  機械化人間に気付かれるほんの少し前に逃げ出せた。  レーザーから放たれた光りもほんの少しずれてきている。 「――キャッ!」  ルナが何かに躓き転んだ。時計に気を取られ、小石の存在に気付けなかったのを悔やんだ。 「ウッ!」  僕の足にレーザーが当たった。  ほんの一瞬、躊躇した。ルナが石に躓くとは思わなかったから……。  僕は叫ぶ。 「ルナ、逃げろ!」  そうだ。逃げろ、逃げろ、逃げろ――!  何度だって僕は叫ぶ。何度だって。  もう、キミの死は見たくない。  だから神様……。  僕は今まであなたを信じなかった。これから僕はあなたの存在を信じるでしょう。  何度繰り返され苦しくても、いつか僕はルナを助けるんだ。  大好きなルナを――。
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