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目覚め
そんな節子が第一子を授かったのが、僕が小学校に入学してまもない頃。いつものように離れに遊びにいくうちに、あるとき僕は、節子が乳をやる場面に遭遇してしまう。
まばゆいばかりの真っ白な半球。その尖端から乳白色の液体が迸る光景に、僕は目を見張った。何とも言えない息苦しさに押し潰されそうになりながらも、未知の膨らみに熱い視線を絡みつかせていたのを覚えている。
そんな僕の動揺を知ってか知らずか、節子は時に、胸の張りを和らげるためだと言って、僕に乳房を握らせたりもした。僕にとって、自分の下半身が意思を持った独立した生き物のように感じられた、初めての経験である。
この衝撃の出来事を受けて、僕はこの頃から、夜な夜な節子の真っ白な乳房を思い描いては、パジャマのズボンのなかで分身を玩ぶことを覚えたのだった。
僕が6歳、節子が26歳のときのことである。
さらに2年後、節子は第2子を出産。それと前後して、祖父母は立て続けに亡くなった。その後、僕が小学校5年になった頃から、皆澤の兄弟姉妹6人の家族が連れ立って、毎年夏に旅行するのが恒例となった。
すでに節子を完全に異性として意識していた僕は、旅先でそのまぶしい水着姿やノースリーブ姿を見るたびに、漲るものを制御することが困難になっていた。
自慰にふける年頃だ。自室で勉強机に向かいながらも、いつしか、節子の脇の下や二の腕や太ももをイメージしては、思春期特有の高ぶりを鎮めた小学校時代だった。
そしてそんな時、いつだってさいごは、こめかみが痛くなるほどの想像力を掻きたてて、あの白無垢の膨らみを夢見ながら果てるのだった。
僕10歳、節子30歳の頃である。
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