積み石

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 もしかしたら、同じ行動を取った同士で意気投合し、その面子で先に帰ってしまったのかもしれない。  散々探し、後から来たよそのグループにも聞いてみたが、結局それらしい人物は誰も来なかったということで、俺達はそれが結論だろうということにして山を後にした。  でも、帰りの道中、いなくなった面々にはどうやっても連絡が取れず、おかしすぎるからと、警察に連絡をして一部始終を話し、もし二、三日しても連絡が取れないままだったら捜索願を出そうかと言っていた矢先に、いなくなった人達は見つかった。  全員、あのハイキングコースとは何百キロも離れたどこぞの山中にいたという。命はあるけれど酷く衰弱していて、骨折などの大怪我はしていないものの、全身に小さな打撲痕が無数についていたらしい。  たまたまその山に立ち入った近隣の人に発見され、人手を呼んでもらって下山した後、救急車で近くの病院に運ばれたとか。  でも、医者や警察の人達が何を聞いても、行方不明になっていた間の記憶はないらしい。ただ唯一、大量の石が降って来てはそれに埋もれるという夢を繰り返し見ていたと、全員が全員供述したという。  結局、彼らがどうやってそんな遠方の山に行くことになったのか、傷跡は何なのかなどの理由は不明で、この件は、不思議すぎる失踪事件として、大学中で語られることになった。  さらに、これは別サークルの友達から聞いた話だが、同じ学校の奴の中に噂を聞いてあのハイキングコースに行った奴がいたが、どんなに探しても、積まれた石などどこにも見当たらなかったらしい。  結局あの石は何だったのか。それも噂の対象の一つとなっている。  ちなみに俺の感想は、あの時、女先輩を手伝っておいてよかった、だ。 積み石…完
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