第三話

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 今日も今日とて、エリアの空は紫色に 霞んでいた。いつも一緒の双子、キラと リラはそれとは対照的に元気いっぱい やる気満々のエネルギーフル充電状態 だった。昨日、めずらしく大きなラットが 一匹手に入ったのだ。2人で食べてもまだ 余るほどの量だった。余った肉は干し肉に、 毛皮も剥いで乾かしている。毛皮は物々 交換に使えるはずだ。2人とも上機嫌 だった。いつもの木陰に座り込んで丹念に プラチナブロンドの髪を梳かしている。 傍目には非常に美しい女だった。何より 食べ物優先の食意地さえ張って いなければ・・・。  「ねえ、キラ。今日はどうする? どこで狩りする?」  「そうねぇ。昨日はがっつり食べた から体力余ってるし、 久しぶりに釣りしようか」  「お、いいですわねぇ」    「うーん、リラ今日もきれい」  「キラも。きれい」  ふふふっと2人は顔を見合わせて、 にっこり笑うと立ち上がってエリアの 中心部から少し外れた辺りへと歩き出 して行った。エリアの北外れには荒れ地 が続き、穴掘りネズミやモグラなどが わずかに生息している。それ以外は毒花 が咲くばかり。しかし、それを目当てに くる荒くれ者がいるのだ。毒花は、花粉 を採って少量を水で薄めると幻覚剤に似 た作用を発揮する。どんな時代も、薬物に 目の無い人間というのはいるものでそれは 結構な需要があるらしいのだった。そんな 辺りを狙ってキラとリラはどんどん進んでいく。
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