第三話

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ある程度進んだところで、彼女たちは2手 に分かれた。キラだけがそっと後ろから身 を隠すようにしてリラを先に歩かせる。 すると、しばらく行くうちに大きな籠を 抱えた男が近づいてきた。何かの獣の毛皮 をなめした肩当てや、厚い胴着を着こんで いる。両腕にも皮の防具を付けていた。 そうとう羽振りが良さそうだ。リラが、 にっこり笑った。すると、男は途端に やにさがる。リラがまるで誘うように藪の 方へ歩くと案の定ついて来た。藪の前で、 リラが手招きをする。男は我慢の限界と ばかり、籠をそこへほっぽり出すとリラの 腕を掴んで藪の中へ入っていく。そこへ 後ろかろから忍び寄ったキラ。藪の中では、 すでにリラが組み伏せられている。男の 背中から、どこからか拾ってきた木の枝を 大きく振りかぶる。  「ぷぎゃっ!!」  変な声を上げて、男は失神した。 すかさずリラが起き上がるとキラと共に 男を身ぐるみ剥ぎ始めた。ほとんど裸同然 まで剥ぎ取ると、籠も一緒に担ぐ。2人は、 男が目覚めたころにはすでにどこにも いなかった。  「ちくしょー!!泥棒!返せ!っくしょん!!」
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