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あの最初の自己紹介は何だったのか。
そう思うほど、ロマは気を許すとやんちゃ坊で、失礼なやつだった。
でもとても楽しくて。
3ヶ月はあっと言う間に過ぎていった。
「ロマ、卒家式のスーツは何色がいい?黒、灰、紺、が規定では着用可だけど」
スーツは、彼らロボットたちが、最初で最後の公的に着ることができる服である。
無論、取引先の家が服を着せてくれることもあるが、ロボット用の服はそれなりに高いため、基本は裸だ。
「翠は何色のスーツ着るの」
私の大学の課題である裁縫をしながら聞いてくるロマは、さながら主夫だ。
……課題をロボットにさせているなんていうのは、勿論皆には内緒である。
「えっ、私?私は普通に黒かな」
「じゃあ俺も黒」
間髪入れずにロマが答えた。
少し嬉しくて、思わずニヤけた。
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