5人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は、特別な日。
だからか、校内も華やいでいた。
他校の男の子にチョコを渡す話をする生徒。
友達同士でお互いがほしそうなものを渡しあう生徒。
学校帰りにおそろいの何かを探しに行こうと約束する生徒など。
やはり女子高だからだろうか。
バレンタインの日にかける情熱は、とても熱かった。
校内で人気のある女子にバレンタインだからチョコを渡して、少しでも仲良くなりたいという生徒も多い。
そして、その仲良くなりたいと思われる女子は、非常に困っていた。
(もう図書室開いちゃったよー)
心の中でそう焦りながらも、自らの性格が邪魔をしているのか、彼女らを振り切って、図書室に行くという選択肢はなかったようだ。
根がいい子である浅木にとっては、せっかく話しかけてくれている子を放置して、図書室に駆け込むなんてこと、できなかったのである。
それが大好きな水嶋を苛立たせていることなど、このときの浅木には気づくことはなかっただろう。
今は目の前のことで、いっぱいになっていたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!