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ほどなくして、姉の墓が荒らされ遺体が奪われ、わたしは姉が冥府で蘇ったことを誰よりも早く知った。
双子の繋がりだろうか、想いの強さだったのかは知らない。
わたしは、武芸と魔術に打ち込んだ。
十六歳の時、姉が冥府から出たのを見て、わたしは悟った。
青い馬に乗って疫病をまく姉は、八歳の時の姿のままだった。
約束が胸を刺す。
だから、わたしは姉が姉でいるうちに、まだわたしの愛称を呼ぶうちに、わたしの手で殺めた。
シーと互いに呼び合い、誰よりも自分に近かった姉。
シュリナとシュリア。
姉を殺した事は後悔していない。
むしろ、約束を果たせたことに、感謝すらする。
あのまま姉を放置すれば、姉の意識は無へと変換させられただろう。
そうなる前に姉が姉でいられた瞬間に、姉を葬ることが出来たのは、感無量だった。
しかし、新たなる問題が発生した。
わたしの足の裏に花の印が浮かんだのだ。
姉を弑した罰か?
それとも最初から双子は国を滅ぼすのかと……。
だから、わたしは神に祈る。
姉の御霊を今一度、現世へと蘇らせて欲しい。
姉になら、殺されても良い。
生まれ変わりを信じる強い信仰心が、わたしにはあった。
「ずっと待ってるから」
姉が再びこの世に生を受けるまで、わたしは死なない。
死ねない。
(あなたに殺してもらうまでは、シー)
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