第1章

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今回の戦も勝利した。 味方の兵に損害が少ないのは、いいことだ。 女王はひとりで熱心に祈っていた。 それを信心深いと他人(ひと)は言う。 が、祈っている内容を知ったら、絶句するだろう。 「陛下」 呼ばれ、女王が振り返ると将軍のアレックスがいた。 「なんだ」 「何を熱心に祈っているのですか?」 「お前には関係ない」 フッと、笑いながら答えると、自分より五つしか歳の差がない年上の若き将軍は、真剣な面持ちで想いを伝えてきた。 「陛下、わたしはあなたをお慕いしています」 「アレックス?」 「答えは今はいりません。ただ、ずっと待ってますから」 言って、踵を返し去ってゆく。 女王はひとり唇を噛み締めた。 アレックス、その想いはわたしには答えられない。 わたしは自分を殺めてくれる、双子の魂を乞い求めているのだから。 アレックスが言った言葉が胸に響く。 「ずっと待ってますから」 女王は涙を流して、また神に祈る。 どうか、姉の御魂を現世へ。 わたしが、わたしでいられるうちに……。 「ずっと待ってるから、シー」
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