20年後

2/4
前へ
/15ページ
次へ
会場から拍手が聞こえる。 ロックミュージックが響く。 いつの日か、この音楽をかき消すほどの拍手を得てやる。そう、毎回心に決める。 ショーの壁の裏で、僕は何度目かのこの瞬間を、それでもとりあえず安堵して迎えた。ランウェイから最後のモデルが戻ってきて、僕は一歩だけ表へ出て、この時だけスポットライトを浴び、深くお辞儀をした。 僕と、僕のブランドのトレードマークの、ボタンが一個ないジャケットをラフにはおって。 今僕はデザイナーとして頑張っている。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加