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さちのことはずっと好きだった。
彼女はサッカー部のマネージャーだった。
でも、ほかの部員やサッカー部以外の男子からも大人気の高嶺の花。小柄だが、まっすぐな黒髪をポニーテールにまとめたしゃんとした姿はとても頼りになる。きびきびと部員にトレーニング内容や監督の指示を出したかと思えば、言い争いの仲裁をし、後輩たちと一緒に冷たい水でごしごしボールを洗う。気のきく存在だ。
告白なんてとても出来ない。時々教室でしゃべるだけで満足。ハッピーな気分で練習に向かえる。
そのさちが!
ぼくの第2ボタンを!
これはチャンスだ。
一度も決めたことのない逆転ゴールのチャンス!
その晩僕は、普段しないくせに、制服にアイロンなんて掛けて、いい匂いのスプレーなんてして、親にどういう風の吹き回しなんて言われて…。
その場面を思い浮かべてにやにやしていた。
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