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卒業式当日。 僕は心ここにあらず。式が終わったら、下駄箱の前でさちにボタンを渡すことになっているからだ。 第2ボタンなんて、一昔前の習慣だと思っていたし、去年先輩があげていたのを見るまでその意味も知らなかった。 でも、思いもよらず僕にもその時がやってくる。男らしく引きちぎれるように、あの先輩が言っていたように一本だけボタン付けの糸を切っておいた。ばっちりだ。 一分が一時間にも思えるような長い式がおわり、僕はクラスのやつらと、卒業生の印の胸のリボンを引っ張りあってふざけながら、 「あ、ちょっとトイレ。」 と言って群れから離れた。 平静を装っているが心臓ばくばくだ。 さちは先に来て待っていた。 ついにこの時がきた!頑張れ、俺!
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