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「え、えっ。ちょ、ちょっと待って、あるよ、ある。あ、いや、誰にもあげてないからっ!」
僕は頭真っ白で、みっともないほどうろたえた。全身パンパンたたいて、ポケットひっくり返して、その辺りの床を必死で見回した。
無い。落ちたとしか考えられない。さっきふざけていたせいか、糸を切りすぎたのか。血の気が引いた。
「いいよ、いいよ。気にしなくて。」
「いやっ、本当に誰かにあげた訳じゃないんだ、落としたみたいで…。」
それだけは伝えないと。
「わかってるよ、その慌て具合は普通じゃないよね。」
さちはおかしそうに吹き出した。
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