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あれからおよそ20年。 結局、あの時ボタンは見つからなかった。 本当に探した。僕が卒業式の日歩いた場所全て遡って、下ばかり見て探した。掃除道具の陰とか、下駄箱の下とか、いろいろ探した。見つからなくて、僕は脱力感でいっぱいだった。 大人になった今なら、ほかのボタンでごまかすかもしれないけれど、そんなずるいことは絶対したくなかった。さちへの裏切りだと思った。 しかし、それでも連絡すればよかったのだ。待ってると言ってくれていたんだから。どうしようと思う間にも時は過ぎ、過ぎるほど連絡はしづらくなった。気になって、心の中でざらざらとし続けてはいるのに、四月になり五月になり、高校生活に馴染んでくると新たな世界はやはり魅力的に開けていった。 そのうち、さちのことは少しずつ心の中心から外れていってしまった。
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