結い紐の行方。

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「頭様、いますか?」 開けっ放しにしてる扉の陰から真珠さんが顔を覗かせると同時にオレはスイッチをオンに切り替える。 「居ますよ。書類ですが、今日分はまだでして…」 「あ、それは良いんです。今日はその書類だけだって言付かっただけなので………頭様、髪型変えました?」 (よし、書類は午前中で終わらせられる……あ、そうだった) 今日分の仕事が少ない事に探し物を一瞬忘れたが、侍女達が触れなかった髪型に触れられ、思い出す。 「……それが先程、髪を結おうと思ったら、結い紐がなくなってまして…真珠さんは知りませんか?」 真珠さんは悩むように視線をさ迷わせてから告げた。 「ごめんなさい。ちょっと分からないです」 「ですよね。私も私で放置してしまったからいけないんですが……違う所を探してみます。書類はお昼前までには目を通しておきますので、その頃に取りに来て下さい」 「分かりました。お役に立てずごめんなさい」 「いや、良いんですよ。何度も言いますが、こういうのはなくした本人が悪いものですから」 (ホントどこに失くしたんだか……ん?) ふと窓の外を見れば見覚えのある物にじゃれついてる獣の姿。 (あの子達は……満月くんが大切にしてる『友達』だな)
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