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彼らがじゃれついてるのはオレの探し物だった。
(そっかそっか。まぁ、猫科だもんなぁ…じゃれつく度に妙な動きをする紐はオモチャにはもってこいだ)
「…ふっ」
思わず、笑みが溢れていた。
「頭様?」
「ん?あぁ…申し訳ないです。探し物見つかりました」
怪訝な顔の真珠さんに探し物が見つかった事を告げ、
「ついてきてもらえますか?」
真珠さんを誘うように執務室を出た。
(あの紐はあげるとして、午後は街へ行って…大型の子達がじゃれても壊れねぇオモチャを探そう。オレの結い紐もついでだから新調してしまえば良い)
そこまで思考が進んでから、ふと足を止めた。
「頭様?」
(取り返すつもりがないのになんで彼らの所に?)
取り返すつもりはさらさらない。
だが、仕事をほっぽり出すように獅子や猫科の子らがじゃれている所にオレは向かってる。
(あゝ、そうか。満月くんとも真珠さんとも”素”のオレで話した事がないから話してみたいんだ)
「…悪い。思考に耽った。息抜きしたら仕事に戻るからキミも付き合え」
急に口調を変えたことで驚いていたようだったが、タラゼドの従者ってやつは柔軟性に特化してるらしい。
「絶対ですよ?頭様」
ニンマリと返事。
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