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王の位に就いたその日の深夜、オレは寝つけずこっそりと寝所を抜け出した。
愛用の扇を持って。
深夜の城内は静かで昼とは違って何だか恐怖心じゃないが似たような感覚を覚える。
「夜のモアイ像が余計に恐怖心煽ってるんだが…」
オレが王になる前から中庭にあるモアイ像とかいう物体。
月明かりで変に影が出来てるから不気味。
昼間、案内されるままに城内を歩いた時に見つけた中庭。現時刻で人気が無さそうなのはここぐらいだろう。
「見つかったら不審者扱いされそうだ」
まぁ、実際。やってる行動は不審者だから間違いないんだがと自嘲しながら中庭に足を踏み出した。
……………
見上げた空に浮かぶ白い月。
で、月明かりに照らされるモアイ像。
「うん。不気味だし、やりづらい」
この際、モアイ像のことは視線に入れないようにしよう。そうしよう。
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