セージの場合

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  梅雨前の朝――   まだ20代前半のセージは、通勤のために満員のバスに乗っていた。   路線の中間あたりからの乗車なので、いつも立っていた。   窓から見えるいつもの風景を何気に見ながら、ファ~と、あくびをした。   不意に風にのってか、一枚の葉が窓から入ってきた。   その葉は、セージの前までくると、空中で停止した。   (ん?)
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