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「阪本君、読んでくれたかなあ…」
まだ頬を赤らめながら阪本陽牙への思いを募らせる。
秋元輝葉(アキモト テルハ)は阪本陽牙と会った時を思い出していた。
…阪本君と初めて会ったのは大会の時。
あの時も今のような季節だったな。新人戦で、真っ直ぐな目をした彼を見た時、胸が疼いた。
あの真っ直ぐな目をもう一度…
そう思っても次の機会は来なかった。
私はあの大会の後引っ越しをしてしまってこの街を離れてしまったのだ。
そしてまた戻ってきた。
坂本君、彼に会うために。
そうして戻ってきたのはいいものの、坂本君は私の事なんてなーんにも覚えていない風だった。
あれから5年も経ったし、わからないのも仕方ないか…
そう自分に言い聞かせながらも、気付いてもらえなかったことに少しショックを受けている。
彼女は自分にビンタをし、気持ちを切り替え家に帰った。
しかし彼女は阪本陽牙に添えるべき一言を告げずにいたことを知らなかった。
ーそうして彼女と彼は、重い想いと重い思いを交差させていくのである。
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