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ー車を走らせながら、しばらく無言が続いた。
その沈黙を先に破ったのは、意外にもユキナの方だった。
「さっきは悪かった。すまない。」
しっかりした声だ。
一方アイはきょとんとしている。
「何がですか?」
柔らかい声で返答する。
「アイは絡まれていただけなのに、『遊んでいる』などと言ってしまった。」
若干 俯きながら静かにユキナは言った。
「ユキナさん そんなこと気にしてたんですか?」
微かに笑いながら言った。
「私は気にしてないですよ。」
優しい表情でアイは言う。
ユキナは、安心した表情を浮かべる。
「……でも、良かったんですか?」
今度は違う質問を投げかける。
ユキナは無言でアイの様子を一瞬だけ見た。
「こう言っては何ですが、ユキナさんにしては甘いと思います。」
アイは酷く真剣に言った。
ユキナは無表情のまま、
「確かに。以前はアイツらの内臓を潰して、2度と子が成せない体にでもしてやろうと思っていた。
しかし、本気で攻撃も仕掛けてこなかったし、あんな人間に執着していた自分が情けない。」
続けてユキナが言う。
「私の復讐は終わった。次はアイの番だな。」
静かな車内にその声はしっかり響いた。
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