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ホントは復讐じゃなくったって良かった。
ただ、1人になりたくなかったのかもしれない。
でも、いつまでも前にも進めず足踏みしてるだけの状態は嫌なのだ。
幸せそうに笑ってるアイツらが腹立たしいのも確かだ。
私は復讐を決めてから剣術を独学で学んだ。
魔法の習得にも励んだ。
元々は風の魔法を私は得意としていた。
風は攻守 共に使える魔法だからだ。
この世界には様々な種類の魔法が存在する。
今は氷の魔法を主に使っている。
しかし、私はとんでもないことを言ったかもしれない。
まるで底無し沼に引きずり込むみたいに、アイの足を復讐と言う名の沼に引っ張っている。
でも、後悔はない。
何故なら、あの時 見たアイの黒い笑顔が忘れられない。
アイとは契約を交わしたのだ。
ー車内のドリンクホルダーからペットボトルを引き抜いて、片手で器用に蓋を開けて水を飲む。
蓋をし、再びドリンクホルダーにしまう。
「アイ。すまない。」
突然ユキナが口を開いた。
「どうしたんですか?」
アイは不思議に問う。
「今夜は野宿になりそうだ。」
車は街から離れ、深い色の緑色の木々が立ち並ぶ森の中を走っていた。
大分 長い道のりのようで、時間のせいか濃い霧で覆われている。
「これ以上の走行は危険だ。
すまないが今夜は車の中で休んでくれ。」
ユキナはそう言ってアイに後部座席へ移るように指示した。
後ろのトランクから毛布を取り出しアイに渡す。
「ありがとうございます。」
自分用の毛布も取り出しトランクを閉める。
アイも今では野宿には慣れている。
文句ひとつ言わず、むしろ後部座席 全てを使わせてもらうことを申し訳なく感じているようだ。
ユキナは車中で寝る時はシートをある程度 倒し、運転席で寝るからだ。
ユキナは、右手から淡い光を出し車の中を光で満たした。
まるで蛍のような光だ。
光はすぐに輝きをなくし、再び暗闇が訪れる。
ユキナが放ったのは結界だ。
いつ暴君が現れても車を無事である為の方法だ。
「ユキナさん おやすみなさい。」
「おやすみ。」
アイが毛布を被って寝る体勢に入ろうとした時、
「あれ?」
アイが何かを見付けた。
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