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「アイ、どうした?」
「あ、あれ。」
アイが指差した先には小さな灯りが見えた。
アイは怖がっている。
「まさか人魂?」
アイは勝手に決めて、勝手に怖がっている。
「私が見てくるから、アイは中で待っててくれ。」
「1人にしないでください!」
アイがユキナの腕を掴んだ。
どうやらアイはホラー関係のものは苦手なようだ。
「すぐに戻るから大丈夫だ。車の中には結界も張ってある。」
ユキナは優しい声でアイに言う。
それでもアイは不安そうだ。
「そんなに離れないよ。灯りの正体を確認するだけだ。」
そう言ってユキナが再び視線を移すと、正体はすぐに分かった。
「……子供?」
松明を手に子供が1人で歩いている。
こんな夜遅く。
「どうしてこんな時間に子供が?」
正体が人魂でなかったことからか、アイは安心を取り戻したようだ。
「しかし、こんな時間に子供が1人でいるなんて妙だ。」
ユキナは眉をひそめて、子供を注意深く見る。
「アイ。」
「行きましょう。」
思ったことは、どうやら同じようだ。
「子供が1人は安全とは言えません。」
「では、十分 気をつけて行こう。」
ランタンに灯りを灯し、2人は車を降りた。
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