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ランタンをそれぞれ1つずつ持って子供に近付いた。
声をかける前に子供の方が先にこちらに気が付いたようだ。
綺麗な金髪に、瞳も同じ色の金色だ。
歳は12ぐらいだろうか?
服装は優しい茶色のパンツに白のワイシャツ。
ノースリーブの鞣し革製のジャケットを身に付けている。
まるで牧場で働いている人間のような格好だとユキナは思った。
「誰?」
子供の声は声変わりがまだのようで、少し高かった。
しかし、声色から警戒しているようだ。
無理もない。
「旅の者だ。今日はこの辺りで休もうとしているところに灯りが見えたのでな。」
金色の瞳がしっかりとユキナとアイを捕らえる。
2人をしばらく見つめた後、
「お姉ちゃん達は悪い人ではなさそうだね。」
子供はにっこりと笑った。
ー「タケルと言うのか。」
子供の名前は、タケルと言う。
事情を聞いたところ、病気がちな母の為に薬草を取りに行っていたらしいが夢中になり、大分 暗くなったところで、急ぐあまりに小さな崖から落ちたらしい。
あまり高くない崖だった為に大した怪我は負わなかったが、しばらく気を失っていたらしい。
「それは妙だな。」
ユキナは思案する。
「タケルぐらいの歳の子が帰らなかったら、親なら心配するだろ。」
そんな思いを余所にタケルはすぐに返答した。
「僕には妹がいるんだ。まだ小さいし、そっちで大変なんだと思う。」
何でもないようにタケルは言う。
「でも、帰ったら怒られそうだから、泊めてあげるついでに一緒に怒られてよ。」
意外と策士なようだ。
「お姉ちゃん達 名前は?」
タケルは金色の瞳を私達に向ける。
「私はユキナだ。」
「私はアイと言います。」
「よろしく。」
少しだけのんびりした喋り方をする少年だ。
私達はタケルの家に向かって歩いた。
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