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騒がしい喧騒の中、彼女の灰色の瞳は何も映していないようだった。
茶色の髪の長さは背中の半分くらいと言ったところだろう。
白い肌とは対照的に黒い服に身を包んでいる。
腰のベルトから伸びた刀は鞘に納められている。
ー「さぁ、今夜はどのようなドラマが待ち受けているのでしょう!」
司会の女は何だか楽しそうだ。
此処は闘技場。
「さぁ、誰から戦いますか?」
司会者は向かいのチームに声をかけた。
向かいのチームは3人編成。
大男を筆頭にもう1人の男と細身の女で構成されている。
その3人を彼女は無表情のまま見つめている。
彼女の名前はユキナ。
静かな響く声でユキナは司会者に言った。
「3人全員リングにあげろ。」
司会者はえっと言う表情をした。
「しかし、ルールは1人ずつですので……」
「まぁ、良いんじゃねーの?」
その言葉を放ったのは相手チームの大男だった。
「そっちのチームは1人だけみたいだし。仮に1人に勝っても体力が持たないんじゃねーの?」
「俺ら3人同時はもっとキツいと思うけど。」
負けるはずがないと言った口振りだ。
「忠告 感謝する。」
静かな笑みを浮かべた。
司会者の方を向いて、
「相手チームの了承は得た。始めてくれ。」
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