出会い

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ユキナの叫びも虚しく、男は一気にタケルに向かう。 男の素早さは異常で、今から走っても間に合わない。 しかし、男がタケルに手を伸ばした時、 バチっと大きな音が響き男は一旦 その場から離れた。 伸ばした手が赤く腫れている。 不思議そうに手をチラッとだけ見た。 タケルの首から下げたペンダントが輝いていた。 術者は寄せ付けない魔法をかけておいだ。 暗殺者と聞いて、術者の可能性は低いかと思ったが、早速 役にたったようだ。 「役にたったようで良かった。」 そう言ったユキナを男は見て、 「余計な真似を。」 小さく吐き捨てるように言って、今度はユキナへと向かう。 ユキナは素早く刀を抜き、男の攻撃に備える。 ガキっと激しい音が響く。 ユキナの刀と男の短剣がぶつかり合う。 さすがに力では勝てないのかユキナは少し圧されている。 刀で短剣を弾き、男の腹めがけて蹴りを入れたが滑らかな動きで避けた。 さすがに暗殺者だけあって動きは俊敏で滑らかだ。 次の瞬間 闇に消えるように男の姿が消えた。 いなくなったのではない。 まだ気配は感じる。 「ユキナさん後ろ!」 アイの声に反応したが遅かった。 深くはないが背中を切りつけられた。 「くっ……。」 痛みに思わず顔が歪む。 ユキナの後ろの影から男は現れたようで、そのせいかユキナの反応が遅れた。
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